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スクラムとアジャイル・プロジェクト管理の入門ガイド

投稿者 | 公開日 2019年8月12日
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スクラム

車の組み立て、結婚生活の維持、ソフトウェアの開発、本の執筆、家の改装に共通して役立つものは何でしょうか?

それは、(アナログ・デジタルを問わず) ホワイトボードと付箋です。

もちろん、それらを有効活用するための知識も必要ですね。

テクノロジー企業で働いている、またはエンジニアと接することが多いなら、「スクラム」と「アジャイル」について聞いたことがあるかもしれません。これはテクノロジー業界においては重要視されているものの、一般には理解されにくい言葉であるようです。「プランニングポーカー」、「スタンドアップ」、「スプリント」なども、テクノロジー関係者の間でよく使わる用語です。

初心者は、これらの用語を聞くと気後れしてしまうかもしれません。

私も最初はそうでした。しかし、ハイテク企業に就職した最初の週に、ソフトウェア開発チームを通じてスクラムについて紹介を受け、すぐに夢中になりました。複雑な問題に取り込み、優先順位を付けて個々のタスクに分け、そのタスクの解決に最適なチームメンバーに振り分けるのを可能にするその方法は、すばらしいものでした。

しかし、これはエンジニアだけのものでしょうか?プログラムを操る以外の人たちも、スクラムのようなものを活用することはできるのでしょうか?そうだとすれば、どのように始めればいいのでしょう?

ではここで、スクラムの導入として短時間でご紹介します。さながらスプリントのように、です。

スクラムとアジャイルとは?

初めて聞く人は、この専門用語に困惑するかもしれません。「スクラム」と「アジャイル」は、業界に慣れていないと同じ意味で使われているように感じるかもしれませんが、重要な違いがあります。

アジャイルとは、「コラボレーション、自己組織化およびチームの垣根を超えた機能など、アジャイルマニフェストで表現されている価値観と原則に基づく一連の方法と実践」を指します。

スクラムは、アジャイル開発を実装するために使用されるフレームワークです

この 2 つの違いを理解するには、レシピと食習慣の違いについて考えてみると分かりやすいでしょう。ベジタリアンな食習慣とは、原則と価値観に基づく一連の方法と実践です。一方、ひよこ豆のタコスのレシピは、ベジタリアンな食習慣を実行するためのフレームワークにあたります。

これは、アジャイル(食習慣)とスクラム(レシピ)の関係に似ています。

アジャイルは、70 年代から 80 年代にかけての革新的な日本企業(トヨタ、富士通、ホンダなどの企業)が採用した技術から生まれました。

90 年代半ば、ジェフ・サザーランドという男性は、スケジュールは遅れ、予算に収まらないプロジェクトに絶えず悩まされている企業にもどかしさを感じていました。そこで、彼は何かいい方法はないかと調査を行いました。

その調査を通して、上記の日本企業とアジャイルな方法を知ったのです。これに基づきサザーランドは、スクラムのフレームワークを作成しました。この新しい方法が一連の成功を収めたことにより、スクラムはすぐに製品開発の世界全体に広がり始めました。

スクラムは誰のためのものか?

スクラムが、エンジニアや開発者に限られたものだと考えるのは無理もないかもしれません。しかし、このフレームワークは他のタイプのプロジェクトにも有益です。

「スクラムはあらゆる種類の複雑なプロジェクトで活用できます。特に、具体的な成果物がある場合に最適です。マーケティングの仕事をしていてプロジェクトのためにコピーを書く場合でも、スクラムは間違いなくチームに役立つでしょう」と、インセンティブテクノロジーグループ社の認定スクラムマスターであるデビッド・マシューは説明しています。

スクラムは、fbiからマーケティング代理店、建設作業員まで、多くの人たちに使用されてきました。ソフトウェアやメールキャンペーンなど、何らかの成果物を生み出す場合、スクラムを活用すると、より少ない時間でチームをまとめ、より多くの作業をこなすことができます。

スクラムを構成するメンバーと要素

スクラムマスター

スクラムを理解するには、メンバーとフレームワークの要素を理解する必要があります。幸いなことに、スクラムを始めるのに特別な経験や認定は必要ありません。

「スクラムを始めるのは簡単です。必要なのは自分の考えやアイディアを整理する場所、つまりバックログだけです。trelloのようなソフトウェア、あるいは単なるホワイトボードを使用することも可能です。プロダクトオーナースクラムマスターなど、さまざまな役割が必要です。実際に必要なツールは、これらの関連する役割ほど大きくはありません」とマシューは言います。

それでは、スクラムを実現させる要素を分解してみましょう。

  • スクラムは、プロダクトオーナーから始まります。これは、エンドユーザーの利益を最優先に考え行動し、最終的な製品に何が入るべきかを発言する権限を持つ人です。
  • プロダクトオーナーは、バックログ(最終的な製品が必要とするタスクと要件のリスト)の作成を担当します。重要なのは、バックログには、優先順位を付けなければいけないという部分です。これが、プロダクトオーナーの仕事です。 
    • 例えば、スクラムを使用して自動車を設計する場合、エンジンがない自動車は動かないので「エンジンが必要」といった項目は、優先リストの一番上のほうに置かれるべきです。「車体は赤とする」は優先度が低くなります。色は個人的には重要なことかもしれませんが、自動車が走るための必須条件ではありません。
  • 次はスプリントです。スプリントとは、チームがバックログから一連のタスクを完了するまでの所定時間枠のことです。期間はチームのニーズにより異なりますが、おおむね 2 週間が一般的です。
  • チームは毎日ミーティングを行い、デイリースクラムで進捗状況を更新します。一般的に「デイリースタンドアップ」とも呼ばれています。
  • 各スプリントはレビューまたは振り返りで、チームが作業について評価し、次のスプリントの改善方法について検討して終了します。

ここまでで、スクラムを始めるために特別な道具やトレーニングが必要ないことがご理解いただけたでしょう。最も難しいのは、専門用語を学び、スクラムを機能させるためのルールやガイドラインに忠実であり続けることです。

「スクラムはポーカーのようなものです。ルールは 10 分で学ぶことができますが、上達には長い時間がかかります」

スクラムのフレームワークの基本

もし、今使っているプロジェクト管理方法にうんざりしている場合は、スクラムに取り組んでみてはいかがでしょうか?

スクラムを始めるために、特別な訓練は必要ありません。自分でコツをつかむだけです。サザーランドと彼と一緒にスクラムを作った、ケン・シュヴァーバーは、このプロセスを簡単にするため、scrumguides.orgで無料の公式ガイドを公開しています。

スクラムを始めるための基本を学ぶのは簡単です。ただし、テクニックを習得するのは難しいです。

ここで再びスクラムマスターのデビッド・マシューの言葉です。

「スクラムはポーカーのようなものです。ルールは 10 分で学ぶことができますが、上達には長い時間がかかります」

それでも諦めないでください。自分の仕事人生をより幸せで生産的なものにしていくには、達人である必要はないのです。

スクラムを始めるための基本的な手順を次に説明します。

  • 公式スクラムガイドのpdf版をダウンロードして印刷する: 通勤中や昼休みなどに蛍光ペン片手に読んでみてください。初めてのフレーズや役割にハイライトして、それぞれの意味の暗記してみましょう。
  • 役割を決める : プロダクトオーナー (ユーザーの意見を代弁し、プロジェクトに必要なものについて最終決定権を持つ人)、スクラムマスター (スクラムの原則に基づいてチームを動かす人)、そしてチームメンバーが必要です。スクラムにはエゴの余地がないよう気をつけてください。スクラムは「サーバントリーダー」モデルに基づきます。
  • プロダクトバックログを作成する: プロジェクトに必要なすべての情報は、重要度順にバックログにリストアップします。バックログは決して完結するものではない、ということに留意してください。プロジェクトが形になり、新しいニーズが出てくるたびに、ここに追加していきます。プロダクトオーナーが、主にこの責任を負います。
  • スプリントを計画する: 次に、バックログから最初のスプリントで完了させるタスクを選択します。スプリントには期限があります。自分に合った期限を設定することができますが、常に 1 か月未満です。チームはスプリントプランニングで、このスプリントに含めるタスクと、そのタスクに対する責任者を決定します。
  • 作業を始める!:実際にスプリントに取り掛かりましょう!チームメンバーは、それぞれのタスクに取り組み、全員がデイリースクラム(スタンドアップミーティング)で進捗状況を確認します。このミーティングは 15 分以内とし、次の 3 つの質問に答えます。昨日は何に取り組んだか?今日は何に取り組むか?今日の作業を妨げるものがあるか?
  • 作業をレビューする: スプリントの最後に、チームは達成した作業をレビューし、完了したタスクを提示します。
  • プロセスをレビューする: 振り返りのミーティングでは、実際の作業プロセスがどのように行われたかを評価します。また、次回に向けて、作業を改善し、効率を高める方法を計画します。
  • 繰り返す!:最初のスプリントが完了したら、また最初から始めます。バックログから新たにタスクを選択して、同じプロセスを繰り返します。

すべてを可視化する

スクラムボード

クラムの重要な原則に、透明性という考え方があります。関係するすべてのチームメンバーは、他のメンバーが何に取り組んでいるかとその進捗状況を把握し、チームが何を達成しようとしているのかを認識する必要があります。

そのため、すべてのメンバーに見えるように物事を可視化することがとても重要なのです。

この大部分をスクラムボードが担います。これは、バックログおよび現在のスプリントで作業しているタスクとその進捗状況を整理できる場所です。

スクラムボードは、ホワイトボードに各タスクの付箋を貼るといった単純な場合もあれば、グラフやタスクトラッキング機能を備えた専用ソフトウェアを使用する複雑な場合もあります。

私は個人的なスクラムボードとして、trelloを利用しています。

私のtrelloスクラムボードには、タスクのワークフローを表す 7 つのリスト(このブログ記事にヒントを得たもの)があります。

  • リソース: このリストには、定期的に発生するタスクをすべて書き留めておきます。そうすることで、例えば、webセミナーのランディングページを作成するたびに、新しいカードを作成する必要がなくなります。そのカードをリソースリストから移動するだけで済むのです。
  • バックログ: ここでは作業するタスクのバックログをメンテナンスします。例えば、上司から依頼があったときに、このバックログリストに追加します。
  • to do: スプリントの計画を立てるときに、バックログからタスクをこのリストに引っ張ってきます。これが取り組み中の現在のスプリントです。
  • 作業中: タスクが開始されたら、ここに移します。
  • qc: 品質チェック。完了したタスクを「qc」に移動します。週の終わりにこのリストを見直して、すべてが順調に進んでいることを確認します。
  • 完了: 品質チェックに合格し、出荷の準備ができた状態です!これ以上の編集やレビューの必要がありません。
  • ブロック: 何らかの問題でタスクを完了できない場合 (例えば、上司の承認を得て何かを購入する必要があるなど)、「ブロック」に移し、何が問題かコメントを残します。

trelloは、上記を行うのに効果的なツールです。私のボードを誰でも見ることができるようモニターに映し、チーム全体にアクセスを共有し、コメント、チェックリスト、期日、添付ファイルの形で、各タスクに必要なすべての詳細を記録することができるのです。

これらのタスクに異なるチームメンバーを割り当て、マーケティング部のslackチャネルと統合することもできます。こうすることで、チームメンバーがタスクを「作業中」から「qc」に移動したときに、次のタスクに進む準備ができていると分かります。

ここでの私の最終目標は、タスクを割り当てられた全員が、カード上にタスク完了に必要なすべてのものを見つけられる状態です。こうすることで、彼らが私に質問をしたり、私が何かをするのを待つ必要がなくなります。タスクが割り当てられる前にその内容が明確に示されていると、作業速度が大幅に向上します。

trelloボード

反復と改善の重要性

スクラムのコアとなる特徴の 1 つであり、それを潜在的に強化するものが、反復と改善の考え方です。これは、作業中のプロダクトとチーム自体の効率性の両方に関わります。

各スプリントの終了時に納品したものは、クライアントへの納品準備もできているべきです。ただし、プロジェクトが完全に完成したという意味ではありません。むしろ、納品物は何らかの実用最小限の製品(mvp: minimum value product、スタートアップの専門用語)を示すのに十分であることを意味しています。

例えば、自動車の場合、運転可能な状態であるべきです。ただし、ラジオやエアコンはないかもしれません。運転はできます。

なぜこれが重要なことなのでしょうか?

こうすることにより、早い段階でユーザーからフィードバックを収集できるため、ユーザーの希望やニーズにあったプロダクトの開発に役立つからです。

何時間もかけて達成したプロジェクトで届けたものが、実は受け取り側は全く別のものを期待していた、という経験は人生の中で誰にでもあると思います。

何千ドルものお金と何か月もの時間を製品開発に費やしたのに、実際にはそれがユーザーの問題を解決できないと分かった場合を想像してみてください。

悲しいことですよね。

自動車の例に戻ると、ユーザーに車を小規模で繰り返し納品した場合、たとえ「実は少し運転してみた結果、コンバーチブルに変更してほしいのですが」と言われても、それほど大きな問題にはならないはずです。しかし最終的な製品が納品された後にこれを知ったら大問題です。

スクラムは、プロダクトの反復的なデリバリーを前提に構築されています。プロジェクトが 100% 完了してユーザーに届くのを待つのではなく、プロジェクトの工程の中で使用可能なものを段階的に納品します。これは、ニーズが変化したり、コミュニケーションで物事が失われたりしたときの無駄な労力を避けるのに役立ちます。

また、スクラムはプロダクトの反復と改善の重要性以上に、新しいサイクルごとのプロセス改善にも焦点を当てています。

振り返りのミーティングでは、チームメンバーは効率を向上できる部分について話し合います。それは、開発を妨げている技術的制限かもしれません。または、チームメンバーの 1 人にタスクの負担がかかりすぎているのかもしれません。チームは、次のスプリントでの効率を向上させる目的で、これらの問題の修正方法を決定します。理論的には、チームはより効率的で、新しいサイクルごとに、より多くの作業をこなす必要があります。

ちょっと待って、仕事が増えるの⁉

私がスクラムを知り始めたときに「より多くの仕事をこなす」という趣旨を知って少し不安になりました。

仕事が増える?すでに働き過ぎなのに!

しかし、スクラムの背後にある考え方は「仕事を増やす」ことではなく、よりスマートに働くことで、結果、より多くのことが達成できるということです。

サザーランドの著書「スクラム: 仕事が 4 倍速くなる“世界標準”のチーム戦術」に、このことについてのすばらしい記述があります。

「自分の仕事について考えてください。他の人が仕事を終えるのを待っている間、または情報が届くのを待っている間、または一度にたくさんのことをしようとしているために、どれだけの時間を無駄にしているでしょうか? あなたは一日中仕事をしたいのかもしれまんが、私はサーフィンでもしていたいのです」

スクラムでは、何時間ログオンしていたかではなく、どれだけタスクを完了したかで評価されます。同じ結果が出せるなら、短時間でタスクを達成したとしても誰が気にするでしょうか?

スクラムで、自分の仕事が増えるわけではありません。スクラムを活用することで、時間を効率的に使えるようになり、オフィスで過ごす時間は減り、愛する人や好きなことに多くの時間を費やすことができるようになるのです。

このようなワークライフバランスはいかがでしょうか?

その他のリソース

スクラムについて、一つのブログ記事にまとめるのは難しいです。そこで、さらに詳しく知りたい場合は、以下に紹介する本やブログなどをご覧ください。


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